第11回 台風などの気象災害から身を守る④ 火災保険の「水災補償」と「風災補償」知ってる?

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―――家を建てたり、購入した際に加入する「火災保険」。万が一、火災で自宅が燃えてしまった場合に建物や家財の損害を補償してくれる保険です。プランによっては、台風や雷などの自然災害や、盗難などの日常生活による損害も補償することができます。今回は、台風や豪雨による被害が補償される火災保険の「水災補償」と「風災補償」について紹介します。

 

防災知識クイズ
火災保険に含まれる「水災補償」で補償されるのはどれ?
①マンションの上階から洗濯排水が漏れて自宅の家具や壁面に損害を受けた
②台風で近くの川が氾濫し、床上浸水した
③強い雨風の中、庭のものを家に入れようとして、転んでケガをした

※クイズの答えは本文中にあります。

 

1.火災保険とは?

万が一、火災で自宅が燃えてしまった場合、火災保険で「建物」や「家財」の損害が補償されます。
「建物」とは、建物本体だけでなく、門や車庫など敷地内に設置されたもの、床暖房や浴槽、調理台など建物の中にあるもので動かせないもの。
「家財」は、テレビや冷蔵庫などの家電製品、家具、衣類などが対象になります。
火災保険では、「建物」だけ、「家財」だけ、「建物と家財の両方」から保険の対象を選ぶことができます。

■火災保険の「保険の対象」
火災保険の対象の図
 

2.火災保険の「水災補償」「風災補償」について

火災保険には、火災のほか、落雷、破裂・爆発、風災、雪災、水災、漏水などによる水ぬれ、盗難など、さまざまな損害を補償するプランがあります。
近年、日本に接近・上陸する台風が多くなり、大雨や土砂災害などの被害が度々発生しています。
また、台風に限らず集中豪雨による洪水などの被害も増えており、加入する火災保険に「水災補償」や「風災補償」が含まれているかを確認することも重要です。

台風や暴風雨による被害で、水災補償や風災補償が適用される例
●台風の風圧で窓ガラスが割れてしまった…風災補償
●台風の暴風雨により屋根瓦が破損してしまった…風災補償
●台風でドアが破損して、家の中にある家具が雨に濡れて使えなくなった…風災補償
●台風により発生した洪水で床上浸水の被害にあった…水災補償
●暴風雨で近くの山が土砂崩れを起こして家屋が半壊した…水災補償

※保険の対象を「建物+家財」にしている場合
補償が受けられるかは、保険の対象や補償範囲、被害状況よって異なります。
 

【防災知識クイズの答え…②】
正解は②
台風により発生した洪水が原因で床上浸水した場合は、水災補償の対象です。①は、水災ではなく「水濡れ」になります。補償内容に「水漏れ」が含まれていれば補償されます。③は、火災保険では補償の対象に人は含まれません。
※火災保険の補償の対象が「建物」だけの場合、水災で家具に被害があっても補償されないので、注意しましょう。

 

▼暴風・強風に強い家については、下記の記事で紹介しています。
第9回「住まいの防災講座」のサムネイル画像第9回「住まいの防災講座」台風などの気象災害から身を守る② 暴風・強風に負けない家!

 

3.「水災」として認められる基準

水災として認められる基準の図

台風や豪雨によって起きた土砂崩れで住宅に被害があった場合でも、必ず保険金が支払われるとは限りません。
「水災」として認められる被害は、原則として、床上浸水、または地盤面から45㎝を超えて浸水したとき、再調達価格(同等のものを新築、購入するのに必要な金額)の30%以上の損害を受けた時、いずれかの基準に該当する場合のみ、保険金が支払われます。
 

4.火災保険の補償範囲の考え方

「水災補償」は、保険会社によって、基本補償に含まれる場合と、オプションで追加する場合があります。契約する際には、立地条件や暮らし方によって必要な補償を見極めることが大切です。
たとえば、マンションの高層階の場合には、浸水被害の影響は少ないと考えられますが、戸建て住宅やマンションの低層階の場合、海や川、山の近くに住んでいる場合には「水災」について考えておいた方がいいでしょう。
補償範囲は広い方が安心ですが、その分保険料もかかるので、必要な保障内容は何かをしっかり考えて選びたいものです。
国土交通省や自治体が公開している「ハザードマップ」では、お住まいの地域の洪水や土砂災害発生の可能性や被害の程度を確認できます。ハザードマップを参考に補償内容を検討するといいですね。
 

▼ハザードマップの活用方法については、下記の記事で紹介しています。

第8回「住まいの防災講座」のサムネイル画像第8回 台風などの気象災害から身を守る① ハザードマップの活用

 

5.地震による火災は、火災保険の対象外

地震のイメージ図

地震によって起こる津波や土砂災害による損害、地震による火災は、火災保険ではなく、地震保険の対象になります。地震保険とは、地震・噴火・津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流出)を補償する保険です。

地震保険は、国と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険。そのため補償内容や保険料はどの保険会社で契約しても変わりませんが、お住まいの地域と建物の構造によって保険料が異なるほか、建物の免震、耐震性能に応じて割引制度が設けられています。
パナソニックビルダーズグループが提案している「耐震等級3」の住まいでは、保険料は50%の割引が受けられます。※

地震保険は火災保険に加入していることが前提で単独では加入できないので、火災保険の加入時に一緒に検討しましょう。
火災保険・地震保険の詳しい情報は、契約される保険会社に、確認してみてください。

※地震保険で割引を適用する場合、公的機関等が発行する書類(写)が必要となります。
 

▼耐震等級については、下記の記事で紹介しています。

第2回「住まいの防災講座」のサムネイル画像第2回 地震に対する強さの基準「耐震等級」って知ってる?

 

【ポイント】
火災保険には、火災のほかにさまざまな損害を補償するプランがある。
台風による洪水等の被害が基準に該当した場合、「水災」として火災保険で補償される。
ハザードマップでお住まいの地域の災害発生の可能性を確認する。
地震による津波や土砂災害は火災保険の対象ではない。

 

地震に強い家をつくるならパナソニックの耐震住宅工法「テクノストラクチャー」
 

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