第26回 住まいのメンテナンス①安心して長く暮らすために重要なメンテナンス

住まいのメンテナンス記事のアイキャッチ画像

――住まいは建てて終わりではありません。安心して長く住み続けるには、定期的なメンテナンスが必要です。丁寧に使っていても経年劣化で修繕や設備の取り換えの必要が出てきます。メンテナンスの重要性とメンテナンスのタイミングについてご紹介します。

 

防災知識クイズ
住まいのメンテナンスはいつする?
①定期的に点検、修繕、取り替えを行う
②費用が掛かるので、10年経ったらまとめて行う
③何か問題が起こったときに行う

※クイズの答えは本文中にあります。

 

1.住まいのメンテナンスとは?

住まいのメンテナンスのイメージ1
家を建てた後は、適切な時期にメンテナンスをする必要があります。

メンテナンスとは、点検、維持、管理、修繕すること。定期的に点検を行い、不具合が見つかれば、修繕するなどの対応が必要です。

最近では「メンテナンスフリー」と言われる家も登場していますが、これは長期間メンテナンスの必要がない家のことで、メンテナンスを全くしなくていい家という訳ではありません。

外壁は、雨や風、紫外線などでつねにダメージを受けています。また住宅設備も毎日使うものなので、年数が経つと故障など不具合が生じます。住宅の耐用年数を延ばし、快適な暮らしを保つためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。

家は資産でもあります。資産価値は新築のときが最も高く、年数が経つにつれ下がっていきます。

ただし、メンテナンスをしっかり行うことで、住まいの価値を保つことにつながります。たとえば、長期優良住宅に認定された住宅では、点検、補修、記録が義務化されており、定期的に住まいのメンテナンスが必要になります。メンテナンスがしやすい家のため、万が一のときもスムーズに修繕ができます。定期的な点検、修繕をすることで、住宅の資産価値が保たれ、安心して長く住み続けることができるのです。

一戸建ての場合、マンションのように管理費・修繕積立金の制度はありません。住まいのメンテナンスは新築して10年後程度から発生するものと考え、計画的に費用を準備しておくことが大切です。
 

2.メンテナンスが必要な場所は?

一般的にメンテナンスが必要な場所は下記になります。

【躯体部分】

基礎、土台、床組、柱、梁、壁(室内側)、小屋組、階段 等

住まいのメンテナンスのイメージ2

基礎、柱、梁などの構造部材は建物を支える重要な場所。劣化すると地震や豪雪などで倒壊する恐れがあり、安心して住むことができません。定期的な点検で、問題を早めに見つけることが重要です。
 

【屋外・屋内部分】

屋外:外壁、屋根、雨とい、軒裏、バルコニー 等

住まいのメンテナンスのイメージ3

屋根に不具合が出ると、雨漏りなどの原因にもなります。傷みがないか、雨といが詰まっていないかなどの点検が必要です。屋根や外壁は、環境によってメンテナンスの時期が早くなることもあります。
 

屋内:床(仕上げ)、壁(仕上げ)、天井(仕上げ) 等

住まいのメンテナンスのイメージ4

床は年月が経つと傷やヒビが入ることも。そこから湿気が入り表面の剥がれにつながることがあります。壁のクロスも日焼けや湿気で、汚れ・剥がれが気になります。見た目にも影響するので、張替えや補修などを検討します。
 

【建具】

玄関建具、サッシ、雨戸、網戸、窓枠・戸袋等の木部、内部建具 等

住まいのメンテナンスのイメージ5

年数を重ねるとドアの蝶番や鍵が壊れるなどの不具合が生じます。玄関の鍵や窓の施錠金具の不具合は、安全性だけでなく、防犯面でも心配なので、定期的に点検し、交換などの対応が必要です。
 

【住宅設備】

給水管・水栓器具、排水管、キッチンシンク、洗面設備、トイレ、浴室、ガス管、給湯器 等

住まいのメンテナンスのイメージ6

特に水まわり水まわり、湿気による劣化があるため、水漏れなどのトラブルを防ぐためにも不具合が起きたらできるだけ早く点検、修理を行います。
 

参考:住宅金融支援機構「マイホーム点検・補修記録シート(一戸建て木造住宅)
 

3.メンテナンスの適切なタイミング

住まいのメンテナンスのイメージ7

点検のタイミングは、住宅会社によって異なります。引渡後、3か月、6か月、1年、3年、5年、10年というタイミングで実施することが多いようです。場合によっては、有償になるケースもあります。

全面取り替えなどの大掛かりな工事が必要な時期の目安をご紹介します。定期的に修繕している場合や設置場所、素材などで時期が異なります。

築5~10年程度

【屋外】

外壁塗装の塗り替えや、シーリングの打ち替え、屋根の塗装などが必要になります。外まわりは、目立った劣化ではなくても、ダメージが蓄積していることもあります。雨といも素材によっては劣化が進んでいる場合があります。

【屋内】

カーペットなど内装の汚れが気になるタイミングです。敷き替えやクロスの張替えなどを検討します。

【住宅設備】

水栓金具は、水漏れやパッキン※の摩耗が生じていることもあるので、取り替えを検討します。給湯器は10年が交換の目安になっています。

※液体が漏れないよう機密性を高めるために使われるゴムやプラスチックなどの詰め物

築15~20年程度

【屋外】

サイディングやタイル貼り壁などは、全面補修を検討するタイミングです。屋根も素材によっては全面葺替えを検討します。
ガス管や給水管も劣化や管の老朽化が起こります。使われている素材によって異なるため、劣化具合によっては全面取り換えが必要になります。
バルコニーのアルミ部は、破損や腐食を受けやすい部位なので、全面取り換えを検討します。

【屋内】

玄関建具やサッシ雨戸は、屋外に面しているため、さびや腐食などが起こりやすい場所です。取り替えを検討します。

【住宅設備】

バスルームやトイレ、キッチン、洗面化粧台など全面取り換えを検討。換気設備の作動不要なども起こりやすいタイミングです。

※住宅金融支援機構「マイホーム維持管理の目安(一戸建て木造住宅)」をもとに記載。取り替えの目安は材質などで変わります。ご自宅の状況に合わせて行ってください。
 
 

不具合を放っておくと大掛かりな修繕が必要になることも。費用も期間もかかってしまうので定期的な点検とこまめな修理をすることで、住まいの寿命を延ばすことができます。
点検結果や修繕工事の図面は保管しておきましょう。自宅を売却することになった場合、記録が保管されていることで、住宅の価値を判断する材料になります。

定期的なメンテナンスは、防災の観点からもおすすめです。劣化や不具合がある個所を見つけ、こまめに修繕しておくことで、大雨や台風、大きな地震など災害の備えにもなり、いざというときの安心につながります。また、住宅設備は突然壊れることもあります。定期的な点検で不具合を早めに見つけ、対応しておくことで万が一の時にも慌てずにすみます。
 
 

【防災知識クイズの答え…①】
定期的に点検し、不具合は早めに修繕をすることで、全面改修時の費用が抑えられることも。住宅会社の定期点検は必ず受けるようにし、不具合がある場合には早めに相談しましょう。外壁など足場が必要な補修の場合は、まとめて行うほうがいい場合もあります。

 
 

【ポイント】
メンテナンスを定期的に行うことで、住まいの価値を保てる
長期優良住宅に認定された場合、点検、補修、記録が義務化される
住まいのメンテナンス費用は計画的な準備が必要
点検結果や修繕工事の図面は必ず保管。自宅を売却する際、中古住宅の価値を判断する材料になる

 

長期優良住宅を建てるならパナソニックの耐震住宅工法「テクノストラクチャー」
 

パナソニックビルダーズグループのバナー画像26

< 前の記事へ

次の記事へ >