第27回 住まいのメンテナンス②窓・外壁・屋根のメンテナンスの重要性
――住まいを定期的にメンテナンスすることは、長く、安心して過ごすために、とても大切です。前回はメンテナンスの重要性と時期についてご紹介しました。今回は、紫外線や雨・風などにさらされ、劣化が気になる「窓」「外壁」「屋根」のメンテナンスのポイントをご紹介します。
窓・外壁・屋根のメンテナンスが重要な理由は?
①見た目が悪くなるから
②劣化した部分から雨水が入り込み構造に影響するから
③劣化を放っておくと改修の時に費用と時間がかかるから
※クイズの答えは本文中にあります。
1.窓のメンテナンス
窓は、採光、通風、デザイン性を高めるなど、目的に合わせてさまざまなタイプがあります。
窓の開き方によっては、掃除がしづらいものがあるため、住まいづくりの際、メンテナンス性も考えて選びたいものです。
窓は「ガラス」と「サッシ」部分で構成されています。素材が違うので、メンテナンスの方法も異なります。それぞれに合わせたメンテナンス方法をご紹介します。
【ガラスのメンテナンス】
ガラスにヒビが入ると破損する恐れがあるため、できるだけ早く取り替えましょう。
台風など強風や豪雨の後は、ガラスの外側に砂やホコリなどの汚れが付いて、放置すると取れにくくなります。
また、内側もホコリがたまるとカビが発生する恐れがあります。
カビを放っておくと、アレルギーなどの原因になることもあるので、こまめな掃除が大切です。
【サッシのメンテナンス】
サッシは、アルミ素材が多く使われていましたが、最近はアルミと樹脂を組み合わせたものや、木製のものなどが出ています。
素材によってメンテナンス方法は異なります。
サッシは2~3年ごとに点検を行い、15~30年くらいで取り替えを検討します。
アルミサッシ
アルミは丈夫でサビにくいのですが、断熱性が低く、結露しやすいのが欠点。ほこりや砂が付いたまま放置すると化学反応を起こし、アルミ表面が腐食することがあります。見た目にも影響が出るので、こまめな掃除が必要です。
樹脂サッシ
樹脂は熱を伝えにくいため、断熱性を高めるのに向いていますが、傷が付きやすい性質があります。レールにたまった砂などを放置しておくと、傷が付いたり、劣化につながる恐れも。
木製サッシ
木は天然素材で水に弱く劣化しやすいため、定期的に表面を塗装して保護するなど、こまめなメンテナンスが必要になります。
2.外壁のメンテナンス
外壁は、風雨や紫外線によって日々ダメージを受け、年月が経つと防水性も失われていきます。
劣化した部分を放置していると、知らないうちに雨水が入り込むことも。雨漏りが起こると、壁・柱・梁などの劣化や、室内の壁・天井にカビの発生を招きやすくなります。劣化している場合は、早めの対策が必要です。
外壁には、たくさんの種類があります。それぞれに特徴があり、メンテナンスの時期やチェック内容が異なります。
よく使われている外壁の特徴とメンテナンスのタイミングをご紹介します。
【窯業系サイディング】
バリエーションが豊富で人気の外壁材。表面の塗装が劣化すると、ヒビ割れなどを引き起こすことがあります。同様に、シーリングが劣化すると水が入り込む恐れがあるので、定期的な点検が必要です。15~20年ほどで全面補修を検討します。
【金属系サイディング】
表面はスチール板などの金属素材で、裏面に断熱材をいれた外壁。断熱性や耐震性に優れています。
金属なので、温度変化により変形したり、衝撃で凹むこともあります。
サビが発生しやすいので、定期的に点検が必要。3~5年ごとに塗り替えを行い、15~20年ほどで全面補修を検討します。
【モルタル外壁】
モルタルを塗装して仕上げる外壁。耐久性に優れていますが、経年劣化でヒビ割れが起きやすくなります。塗装の膜が剥がれていたり、ヒビ割れなどを見つけた場合は、防水性や耐水性を保つため、早めに補修を行います。2~3年ごとに点検を行い、15~20年ほどで全面補修を検討します。
【ALC外壁】
耐火性、耐震性に優れているALC外壁※。吸水性が高いので、水が入るとヒビ割れや欠けなどが生じます。シーリングの劣化や割れ・浮きがあれば塗り替えや補修などのメンテナンスが必要です。
※軽量気泡コンクリート(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)。断熱性、耐火性に優れるが防水性、防湿性に弱点がある。
3.屋根のメンテナンス
屋根は、風雨、紫外線、雪などで塗装が傷み、色落ちやサビが出てきます。また、台風などの強風や地震で建物が揺れると、板金やスレートのつなぎ目が緩みます。瓦屋根の場合は、ズレが生じると雨水が入り込んで雨漏りの原因にもなります。
屋根材は、瓦、トタン、スレート、ガルバリウム鋼板、アスファルトシングルなど、たくさんの種類があります。それぞれに特徴があり、素材によってメンテナンスの時期やチェック内容が異なります。環境によっては、メンテナンスの時期が短くなります。
【瓦】
耐久性が高く、格調の高いデザイン性が特徴ですが、コストが高く、重いというデメリットも。年数が経つと、ズレや割れが生じることがあります。5~6年ごとに点検を行い、20~30年ほどで全面葺替えを検討します。
【トタン】
鉄板でできた屋根材。サビやすいため、長持ちさせるには定期的な塗り替えが必要になります。3~5年ごとに塗り替えを行い、10~15年ほどで全面葺替えを検討します。
【スレート】
セメントと繊維を混ぜた屋根材。耐久性が高く、色やデザインが豊富にあります。色褪せや色落ち、ズレ、割れ、サビなどが生じるので4~6年ごとに点検を行い、15~30年ほどで全面葺替えを検討します。
【ガルバリウム鋼板】
亜鉛とアルミ、シリコンを組み合わせた合金を鋼板にメッキした屋根材。外壁にも使われます。スレートより軽く、耐久性も高く長寿命と言われますが、定期的な点検は必要。使用している材料によって、15~20年ほどでメンテナンスが必要になります。
【アスファルトシングル】
ガラス基材にアスファルトを塗った後、表面に石粒を吹き付けて接着させた屋根材。シートを屋根に圧着させているため、強風によって剥がれや破れが起きる場合があります。5~10年ごとにメンテナンスを行います。
外壁や屋根の点検は地上からの目視が難しいので、専門家に依頼します。メンテナンスは専門知識を持つ、経験豊富な信頼できる会社に相談して行いましょう。
※点検・メンテナンスの時期は、住宅金融支援機構「マイホーム維持管理の目安(一戸建て木造住宅)」をもとに記載。目安は材質や環境により変わります。ご自宅の状況に合わせて行ってください。
メンテナンスを怠ると、見た目が悪くなるのはもちろん、劣化しやすくなります。ヒビ割れなどの劣化が生じると雨漏りの原因になり、構造に影響がでることも考えられます。定期的な点検を行い、不具合は早めに修繕することで改修時の費用が抑えられることも。住宅会社の定期点検は必ず受けるようにし、気になるところがある場合は早めに相談しましょう。
●新築時は、メンテナンスのことも考えて材料を選ぶ
●素材によってメンテナンス時期が異なるので、採用している素材を知っておく
●外壁の劣化を放置すると雨漏りの原因になり、構造に影響が出ることがある
●不具合は早めに修繕をすることで、全面改修時の費用が抑えられることも
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