第13回 必見!地震に強い家を建てるために①「3つの強さ」を調べよう
――昨日も、今日も、地震は日本各地で起きています。これからあなたが建てる家は地震に強い家ですか?家の強度を確認する方法の一つに「構造計算」があります。この「構造計算」について、今回から2回に分けてお伝えします。
地震に強い家を作るには、「耐力壁」が重要です。耐力壁とはどんな壁のことでしょうか?
①地震などの横方向から受ける力に耐えるために必要な壁のこと
②外部から物がぶつかってきたときに壊れにくい壁のこと
③厚みのある壁のこと
※クイズの答えは本文中にあります。
1.地震に強い家を建てるために
まだ記憶に新しい2016年、震度7を観測した熊本地震。古い家だけでなく、築年数の浅い家でも倒壊、半壊が起きました。特に多く見られたのは、2階の重みに耐えきれずに1階が壊れてしまった一戸建ての被害。
熊本地震でわかったのは、壁の量が少なかったり、壁の配置バランスが悪い家は倒壊しやすいということです。特に上の階の重さを支える1階部分は、壁の量と配置バランスに注意しなくてはいけないことがわかりました。
2.地震の力を多く受ける家の特徴
地震の揺れは複雑で、どの方向からくるかわかりません。地震に対する安全性を考える時、力がどこから加わっても家が倒れないようにする必要があります。
そこでポイントになるのは、「建物の重さ」。重い家の方が地震の力を多く受けるので、積雪が多い地域では、屋根の上の雪の重さも考えなくてはいけません。
■建物の重さと地震力について
重量が大きい建物は、地震などの力に耐えるために「耐力壁※」をたくさん配置しないといけないのです。
※耐力壁…地震や台風などの横方向から受ける力に耐えるために必要な壁。筋交いや構造用合板などの面材を貼って丈夫にしている。
3.家の強度は「3つの強さ」を確認する
強い家にするためには、地震の揺れだけでなく、台風、人や家具の重量、屋根に積もる雪の重さ、屋根材の重さなど、いろいろな力が加わっても倒れないかどうか、「家の強度」を確認することが大切になります。
「家の強度」を確認するためは、3つの分野の強さを考える必要があります。それが、(1)「壁」(2)「部材」、(3)「地盤・基礎」です。
(1)壁の強さ
耐力壁※が足りなかったり、壁の量が十分でもバランスよく配置されていないと、地震で倒壊する恐れがあります。
また壁が強くても、外れてしまっては意味がありません。耐力壁は、柱などの他のパーツとしっかりと接合することで、地震や台風などの水平方向の荷重に対して安全性を確保します。
■壁の量と配置バランスが悪い家
(2)部材の強さ
家の重さを支える重要な柱や梁の配置や、サイズを検討します。
家の重さや家具の重さなどに対して、梁が曲がったり、柱が折れたりしないかを計算し、必要な場所に、必要な強さの部材が配置できているかの確認が必要です。
(3)地盤・基礎の強さ
家全体を支えられるか地盤調査をします。
地盤が弱い時には地盤を補強する必要があります。建物と地盤に合った基礎のカタチを決めます。
この「3つの強さ」を、「構造計算」を使えば緻密に調べることができます。
しかし、一般的に2階建ての木造住宅では、「構造計算」ではなく、もっと簡易な計算方法が使われていることが多く、耐震性が心配な住宅もあるのが実態です。
家の強度を計算する方法はいくつかありますが、どの計算方法を選ぶかが「地震に強い家」を建てる上で大切なポイントになってきますので、覚えておいてください。
次回は、家の強度を調べる計算方法について詳しくご紹介します。
●1階部分は、壁の量と配置バランスに注意。
●重い家は地震の力を多く受ける。
●家の強度を確認するためには「壁」「部材」「地盤・基礎」3つの分野を計算・検討する。
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